入社して間もない頃の会議は、「何か発言しなければ」と思っていても、実際には言葉が出てこなかったり、周りの先輩や上司を前にして発言しづらさを感じたりするものです。
「自分の意見なんて的外れかもしれない」「話すタイミングがわからない」といった不安から、気づけば会議が終わってしまう――そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
会議で発言できない理由は人それぞれですが、原因を整理して対策を知ることで、少しずつ前に踏み出すことができます。
この記事では、新入社員が会議でつまずきやすいポイントと、その克服のためにできる工夫を紹介します。小さな一歩からでも、会議を「ただ聞くだけの時間」から「自分の成長につながる時間」に変えていきましょう。
会議で発言できないのはなぜ?

会議でなかなか発言できないからといって、それは決して「自分の能力が低いから」ではありません。多くの場合、単に会議でのコミュニケーションに必要な技術やコツをまだ知らないだけです。
知識や経験が不足していれば発言に戸惑うのは自然なこと。むしろ、新入社員の段階でそう感じるのは当たり前です。
ここでは、会議で発言しづらくなる典型的な原因を整理しながら、後の章で紹介する「ちょっとした工夫やTips」で解決できることを示していきます。
理由1:発言内容を考えすぎてしまう
会議で発言できない理由のひとつに、「考えすぎてしまうこと」があります。
「せっかく話すなら有益なことを言わなければ」「間違ったことを言ったら評価が下がるかも」と意識すると、発言のハードルが一気に高くなってしまいます。
これは能力が足りないからではなく、会議では「完璧な発言」を求められているわけではないという知識をまだ持てていないだけです。実際には、短い気づきや素朴な疑問でも十分に価値があります。
また、「自分の発言がどう受け止められるか」を先に考えすぎると、話すタイミングを逃してしまうことも少なくありません。
つまり、このケースは「発言内容を磨く技術」よりも、**「まずは声に出す一歩を踏み出すコツ」**を身につけることで解決できる課題なのです。
理由2:緊張しやすいタイプである
「会議で発言しよう」と思っても、実際に多くの人を前にすると緊張で頭が真っ白になってしまう…。そんな経験は珍しくありません。特に入社1〜3年目は、先輩や上司の前で発言する場面が多く、緊張が強まるのも自然なことです。
これは「人前で話す能力がないから」ではなく、緊張をほぐすためのちょっとした技術をまだ持っていないだけです。実際には、会議前に一言メモを準備したり、深呼吸して気持ちを整えたりするだけでも、発言のハードルはぐっと下がります。
緊張しやすいのは性格の欠点ではなく、技術を学ぶことでコントロールできる要素なのです。
理由3:人前で話すのが苦手だと感じる
「自分は人前で話すのが苦手だから、会議ではできるだけ発言したくない」──そう考えてしまうのも自然な反応です。特に発言の得意な先輩がいると、「自分にはできない」と比較してしまい、ますます発言から遠ざかってしまうこともあります。
しかし、これも能力不足ではなく、「人前で話すのは訓練で慣れていくものだ」という視点や方法をまだ持っていないだけです。最初から長い発言や立派な意見を求められているわけではなく、「はい」「そうですね」といった短い相槌や簡単な質問でも立派な発言の一歩です。
「苦手だから無理」ではなく、小さな発言を積み重ねて克服していける──そう考えることが大切です。
理由4:会議の目的や知識が不十分だと発言しづらい
会議そのものの目的や、議題に関する知識が不足していると、どうしても発言のハードルは上がります。
「この会議は何を決めるためのものなのか」「どんな情報が必要なのか」が曖昧だと、発言のきっかけが見つからず沈黙してしまいがちです。
これは能力が低いからではなく、「会議前に確認しておくべきポイント」をまだ習慣化できていないだけです。実際には、事前に議題を確認し、自分の立場で答えられることを1つ準備しておくだけで、発言はぐっとしやすくなります。
つまり、準備の仕方という「技術」を身につけることで克服できる課題なのです。
理由5:上司の態度によって発言しにくい雰囲気になる
会議に同席する上司が威圧的だったり、発言に対して否定的な反応を示したりすると、どうしても参加者は萎縮してしまいます。「どうせ否定されるなら発言しないほうがいい」と感じてしまうのは自然なことです。
これは、環境要因によって発言しづらくなっている状態です。
このような状況でも、短い質問や確認から入る、あえて上司以外に向けて意見を述べるなど、環境に合わせた発言の工夫を身につければ、少しずつ自分の声を出せるようになります。
会議の雰囲気は個人では変えにくい部分もありますが、「発言しづらい環境でどう一歩を踏み出すか」という技術を知ることで、必要以上に萎縮せずに臨むことができます。
理由6:発言が一部の人に偏ってしまう
会議では、特定の人だけが積極的に発言していたり、声の大きい人の意見に流されがちだったりすることがあります。そんなとき、他の参加者は「自分が話す必要はないのでは」と感じてしまい、委縮して発言しにくくなりがちです。
これは能力の差ではなく、「発言が偏る場面でどう切り込むか」という技術をまだ知らないだけです。短い補足や「私も同じ意見です。ただ〜」と一言付け加えるだけでも立派な発言になります。
理由7:先に意見を言われてしまう
「これを言おう」と思っていた内容を、他の参加者に先に言われてしまう──そんな経験もよくあるでしょう。結果として「重複するなら言わなくていいか」と感じ、黙ってしまうケースです。
しかし、これは決して「自分には新しい意見が出せないから」ではありません。重複した意見でも「賛同+α」で十分に価値があるという視点を持てていないだけです。たとえば「私も同じ意見です。特に〜の部分に共感しました」と具体的に補足するだけで、発言の意味はしっかりとあります。
理由8:発言のタイミングがつかめない
「いつ話せばいいのかがわからない」という理由で発言を逃してしまうこともあります。会議の流れが速かったり、他の人のやり取りを追うのに精一杯だったりすると、「今は言うべきでないかも」と感じてしまうのです。
これは能力が足りないのではなく、発言のタイミングを見つけるコツをまだ身につけていないだけです。たとえば「話が一区切りついたときに手元のメモを読み上げる」「まずは質問から入る」など、小さな工夫で発言しやすいタイミングを作ることができます。
会議で発言しないことのデメリット

会議には毎回参加していても、発言せずに黙っている状態が続くと、思わぬデメリットが生じます。
これは「発言できない自分がダメ」ということではなく、発言しないことで周囲からどう見られるか、そして自分自身にどんな影響が出るかを理解しておくことが大切です。デメリットを知っておくことで、「だからこそ小さな一歩でも発言してみよう」と前向きな行動につなげられます。
デメリット1:評価が下がる可能性がある
会議で全く発言がないと、「積極性が足りない」「意欲が見えない」と思われるリスクがあります。特に上司や先輩からは、「会議に参加しているのに何もアウトプットがない」と評価されてしまうことも。
これは実際の能力の問題ではなく、「会議では一言でも意見を出すことが仕事の一部」と考える人が多いのです。ほんの短い一言でも発言を積み重ねれば、評価は大きく変わっていきます。
デメリット2:不誠実に見えてしまうことがある
会議で何も話さないと、「コミュニケーションをとる意思がない」「仕事に真剣に向き合っていない」と誤解されるリスクがあります。
もちろん実際はそんなつもりがなくても、自分の考えを発信しないと「何を考えているのかわからない人」に見えてしまうのです。ちょっとした質問や賛同の一言でも、「ちゃんと会議に参加している」という誠実さを伝えることができます。
デメリット3:自分のモチベーションが下がる
発言しない状況が続くと、周囲が積極的に意見を述べている姿を見て「自分は向いていないのでは」と感じてしまうことがあります。その結果、自信をなくし、仕事へのモチベーションも低下してしまうのです。
ただし、これも「能力がないから」ではなく、会議で声を出す小さな技術を知らないだけです。一言発言できるようになると「自分も参加できた」という実感が生まれ、自信ややる気につながっていきます。
会議で発言できるようになるための8つのコツ

会議でなかなか発言できないのは、あなたの能力が足りないからではありません。ちょっとした準備や意識の持ち方といった「技術」を取り入れるだけで、発言はぐっとしやすくなります。
ここでは、入社1〜3年目の社員でもすぐに取り入れられる、自分自身でできる具体的な対策を紹介します。小さな一歩を積み重ねることで、会議を「聞くだけの時間」から「自分も参加できる時間」へと変えていきましょう。
会議で発言するコツ1:議題に関連していれば、一言でも発言してみる
会議では「正しいことを言わなければ」と考えてしまいがちですが、実際には議題に関係していればどんな発言も意味があります。自分では「取るに足らないこと」と思っても、同じ疑問や感想を抱いている人は必ずいます。
たとえば、次のような一言でも立派な発言です。
- 「この資料の〜の部分について、具体的にどう進める予定ですか?」
- 「私は〇〇の点に賛成です。特に△△の考え方が参考になりました」
- 「今のご意見を聞いて、□□の観点も大事だと感じました」
会議は完璧な答えを出す場ではなく、多様な視点を出し合って進める場です。議題に関わる内容であれば、どんな小さなコメントも会議を前に進める力になります。
自分の発言を過小評価せず、「議題に関連しているなら価値がある」と思って声に出してみましょう。
会議で発言するコツ2:事前に一言メモを用意しておく
会議の場でゼロから考えて発言するのは難しいものです。周囲の意見が次々と出る中で、自分の考えを整理する前に流れが進んでしまうこともあります。
これは「発言力がないから」ではなく、準備の仕方をまだ知らないだけです。
対策としておすすめなのが、会議前に簡単なレジュメや一言メモを作っておくことです。
たとえば次のように書き出しておくだけでも効果があります。
- 「自分が確認したい点 → ○○のスケジュール感」
- 「意見として出したい点 → △△の方法より□□の方が効率的ではないか」
- 「質問候補 → この提案を実施する場合、コストはどのくらいかかるのか」
こうして事前に準備しておけば、会議中に「言うことを忘れた」「考えがまとまらない」と悩むことが減ります。さらに、準備の過程で「自分の知識が足りない点」や「追加で調べるべき点」も見つかるので、自信を持って会議に臨めるようになります。
会議で発言するコツ3:前置きをつけてハードルを下げる
「自分の意見は的外れかもしれない」「完璧に話せる自信がない」と感じると、発言のハードルは一気に高くなります。
ですが、これは発言をラクにするための工夫を知るだけで克服することができいます。
効果的なのが、発言の前にちょっとした“前置き”をつける方法です。例えば:
- 「的外れかもしれませんが…」
- 「個人的な考えなのですが…」
- 「まだ整理しきれていないのですが…」
このように前置きするだけで、周囲に「完璧な答えではなく、考えの途中を共有している」というメッセージを伝えられます。結果として、自分自身へのプレッシャーもやわらぎ、声を出しやすくなります。
会議は「正解を出す場」ではなく「意見を出し合う場」です。前置きを活用することは、発言をスムーズにするための立派な技術のひとつなのです。
会議で発言するコツ4:質問も立派な発言になる
会議では「意見を言わなければならない」と思い込んでしまいがちですが、質問をすることも立派な発言のひとつです。むしろ新人の立場だからこそ、素直な疑問を投げかけることに意味があります。質問によって議論が深まったり、他の人の説明がよりわかりやすくなったりすることも多いのです。
質問は「完璧な意見」よりも準備が簡単で、会議に慣れていない人にとって最も実践しやすい発言方法です。例えば:
- 「この数字が増えている理由を、もう少し詳しく教えていただけますか?」
- 「この提案を進める場合、具体的にはどんな手順を想定されていますか?」
- 「△△の点については、別の選択肢は検討されていますか?」
- 「□□の方法と△△の方法、それぞれのメリットはどう違いますか?」
こうした質問なら、知識や経験が豊富でなくてもすぐに発言できます。
会議は「正解を出す場」ではなく、「疑問を共有して解決していく場」でもあります。意見に自信がないときは、まず質問から始める──これだけで発言の第一歩を踏み出すことができます。
会議で発言するコツ5:メモを取って発言のきっかけをつくる
会議中にただ話を聞くだけでは、情報が流れてしまい、自分の考えを整理するのは難しくなります。ですが、メモを取る習慣を身につけるだけで、発言のきっかけを見つけやすくなるのです。
メモに書き出すことで「頭の中のもやもや」が目に見える形になり、疑問点や意見が自然と整理されます。議事録のように詳細に残す必要はなく、気になった部分を短くメモするだけで十分です。
例えば:
- 「資料の数字が増えている理由は?」
- 「スケジュールの△△部分、現実的なのかな?」
- 「□□の方法だと、前のプロジェクトで問題が出た気がする」
こうしたメモを元に、会議中に次のように発言できます。
- 「この数字が増えている理由を、もう少し教えていただけますか?」
- 「△△のスケジュールについて、少し厳しいように感じるのですが」
メモ=そのまま発言ネタになります。話すのが苦手でも、文字にしておけば安心して声に出せるようになります。
会議で発言するコツ6:人の発言に一言コメントを添える
会議での発言は、必ずしもゼロからオリジナルの意見を出す必要はありません。他の参加者の発言に自分の受け止め方を添えるだけでも、十分に価値ある発言になります。
会議は意見をぶつけ合う場というよりも、互いの考えを広げたり深めたりする場です。他の人の発言に一言加えるだけで、議論はより立体的になります。
例えば:
- 「今のご意見を聞いて、自分も□□の観点を大事にしたいと感じました」
- 「△△さんのお話を聞いて、私も同じように感じています」
- 「それを聞いて、別のケースではどうなるのかも気になりました」
短い一言でも、自分の存在感を示すことにつながります。
会議で発言するコツ7:「同意見+理由」で発言に変える
会議では、ただ黙っていると「賛成なのか反対なのか」が周囲に伝わりません。そんなときは、他の人の意見に同意するだけでも立派な発言になります。
ただ「同意見です」だけでは弱い印象になるため、理由を一言添えると自分の発言として成立します。
例えば:
- 「私も同意見です。特に〇〇の点は、現場でも重要だと感じているからです」
- 「△△さんの意見に賛成です。□□のリスクを減らせると思いました」
このように「同意+理由」を伝えることで、オリジナルの意見を言わなくても、しっかりと会議に参加している姿勢を示すことができます。
会議で発言するコツ8:発言のタイミングを決めておく
会議で発言できない理由のひとつに、「いつ話せばいいかわからない」という悩みがあります。流れが速かったり、先輩や上司のやり取りが続いたりすると、発言のタイミングを逃してしまうのです。
これを克服するために、「タイミングを自分であらかじめ決めておく」という技術があります。
例えば次のような工夫が効果的です。
- 「最初の資料説明が終わったら、一言コメントする」
- 「誰かの発言に賛成できる部分があったら、その直後に意見を添える」
- 「会議の最後のまとめ前に、必ず質問を一つ投げる」
あらかじめ「ここで話そう」と決めておくと、会議中に余計な緊張や迷いが減り、発言しやすくなります。
たとえば、
- 「この点については、私も現場で同じ課題を感じました」
- 「一点だけ確認してもよろしいでしょうか?」
といった短い一言でも、しっかり参加していることを示せます。
タイミングを決める=発言の準備をしておくこと。この小さな工夫だけで、会議での発言のしやすさは大きく変わります。
まとめ:会議で発言できるようになるために

会議で発言できないのは、あなたの能力が低いからではありません。ただ、会議で声を出すための技術やコツを知らなかっただけです。今回紹介したような小さな工夫――「一言メモを準備する」「質問から入る」「前置きをつけて話す」「他人の発言に乗る」など――は、誰でも今日から実践できます。
最初はほんの短いコメントや簡単な質問でもかまいません。その一歩が「会議で自分の意見を伝えられる」という自信につながり、やがて積極的に発言できるようになっていきます。
会議は「正解を出す場」ではなく、「考えを共有して育て合う場」です。
小さな一歩を踏み出せば、会議はただ聞くだけの時間から、自分自身の成長につながる場に変わります。
どうか焦らず、できることから一つずつ試してみてください。
あなたの声が会議を、そしてチームを、もっと前に進める力になるはずです。
コメント